●第17ステージ/リュション~サン・ラリー・スラン 65km(上級山岳)
7月25日(水):晴れのち曇り、気温26度
今日はピレネーステージにとってもツールにとっても待望のサン・ラリー・スラン、コル・デュ・ポルテ(2215m)山頂フィニッシュです。
リュションスタートでピレネーお馴染じみのペイラギュード(1645m)とサンラリーは幾度も登場してきましたが、サンラリー山頂のその先にはネウヴィエイユ山塊が阻み行く手を塞ぎます。
約16km、8.7%の標高差約1400mの登りが最後に待っているので、レース展開を変える可能性を感じさせるコースレイアウトです。
ピレネーといえば第19ステージのグラン・トゥルマレ峠が真っ先に思い描きますが、それをも超えそうなほどの新しく、ハードで、眺望、ロングアプローチ観戦を可能にしてくれる、まさに凄い興奮を禁じえないコル・デュ・ポルテ。
そして、この第17ステージには、65kmの短い距離の区間にペイラギュードの上り、アゼ峠とピレネー屈指の峠がひしめきあっています。
これからのツールにどう組み込まれるのか、選手の印象も含めてとても気になります。
レース観戦では、地元サン・ラリー・スランの村、観光局(マヌー氏)と夏はトレッキング、冬はスキーでお世話になっているメルキュールサンラリーのデイレクター(ジャン・マルク氏)がポルテ峠に設置されたVIP席に招待してくれました。
山頂フィニッシュを選手がこの長い登りを駆け上がって来るの想像しながら、まったりと地元の人々の交流もあり、モニターで状況が変わるたびに歓声が山に響きます。
午後5時を過ぎて気温も下がってきた頃、突如発生した霧がこのパノラミックな登りルートと山岳死闘をまるでミステリアスに演出します。
霧が全く視界を塞いだり、風が吹き抜ける谷といわれるこのスペインへ国境に近いサンラリー山頂に集まった約2000人以上が晴れる度にため息から歓声に変わります。
いよいよ麓から10km以上の上部、約6kmの地点にプロトンが這い上がって来るのが識別できます。
中継どおりにモヴィスターのエース、ナイロ・キンタナが圧倒的な推進力と彼独自のポジションでコロンビア人サポーターの大歓声のもと、まるでサッカーのワールドカップでの借りを返すがのごとき”ナイロコール”が起こります。
キンタナの力強い走りに釘付けになってしまい、ピレネー初、ツール初のこの記念すべき超級ロング山岳ルートの景観と、そこを獲るナイロ・キンタナの走りを自分の目でしっかりと焼き付けたくてカメラ撮影が間に合わないほど。
どんどんゴールへとスピードに乗ってフィラム・ルージュにあっという間に吸い込まれて行きました。
2位のダニエル・マーティン(UAEエミレーツ)の力走も素晴らしかったのでご覧下さい。
続いてマイヨジョーヌをまとったゲラント・トーマス(チームスカイ)が小さい集団でゴールとなりました。
下山ゴンドラで中間駅まで降りてそこから約12kmのダウンヒルでサン・ラリーの街まで降りて観戦終了。
メルキュールサンラリーで夕食後、再びスペインのアインサへ。オルデサ・イ・モンテ・ペルディド国立公園にもほど近いピレネー山塊の南側へと戻ります。
みなさん大変長い一日、お疲れ様でした。
ステージ順位
1.ナイロ・キンタナ(モヴィスター)/ 2時間21分27
2.ダニエル・マーティン(UAEエミレーツ)/ +00:28
3.ゲラント・トーマス(チームスカイ)/ +00:47
個人総合順位
1.ゲラント・トーマス(チームスカイ)/ 70時間34分11
2.トム・デュムラン(チームサンウエブ)/ +01:59
3.クリス・フルーム(チームスカイ)/ +02:31
明日は第18ステージの平坦スプリントコース。スタート地点とスタート前の選手を間近に、各国の観戦者の雰囲気も存分にご体験頂きます。
エスコート 水澤 史
●ツール・ド・フランス観戦ツアー2018・コンテンツ一覧
・1日目・カルカッソンヌ(休息日)
・2日目・第16ステージ:カルカッソンヌ~バニェール・ド・リュション
・3日目・第17ステージ:バニェール・ド・リュション~サン・ラリー・スラン
・4日目・第18ステージ:トリ・シュル・ベーズ~ポー
・5日目・第19ステージ:ルルド~ラランス
・6日目・第20ステージ:バスク・ピレネー・サン・ペ・シュル・ニヴェル~エスプレット
・7日目・第21ステージ:グランファイナル ウイユ~パリ・シャンゼリゼ